仮面ライダー電王

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仮面ライダー電王



平成仮面ライダーシリーズ第8作である。本作品ではライダーのモチーフとして「電車(鉄道)」、怪人のデザインモチーフとして「おとぎ話に登場する動植物」というライダー作品としては奇抜かつ斬新なものを採り入れている、前者について東映側プロデューサー・白倉伸一郎は、「バイクに乗れない子供たちが、より身近に乗れるものは何か」と考えて出た案だったと語っており、「月ごとに話を区切って、それに合わせたアイテムを出すという1年で12輌連結の列車を出す」というたとえ話が間違って伝わったことで「桃太郎の電車」というデザイン案が上がった齟齬から生まれたものだという。

全体的に各キャラクターの性格や特徴を活かしたコメディタッチのエピソードが多く、伏線にまったく触れないエピソードも存在する。これに関して白倉は「時間SF」というウケの悪いネタを使わざるをえなくなったため、難しいことをやっているように思われないよう、「バカが作った番組」に見えることを狙っているという。複雑怪奇な設定を詰めるため、「地獄の三日間」と言われるほぼ不眠不休の会議が行われ、従来のように「悪事を働く怪人をライダーが倒す」という流れを守るが、それを時間を超えながら守ることの理由付けを説明させるのが難しく、過去に介入する理由のキーパーソンとなる桜井侑斗を説明するには20話くらいを要してしまうため、「考えなくても見られる」作りとなり、「俺、参上!」などの決め台詞や基本的に2話構成にするなどそれまでの平成ライダーが培ってきたものを崩すこととなった。また、回を追う毎に主人公と味方怪人・イマジンとの絆もクローズアップされ、終盤では物語の骨子ともなる。第21話・第22話、劇場版シリーズを除き、当時のライダー作品では毎年恒例化していたライダー同士の戦いがあまり描かれないのも特徴の一つである。敵怪人による殺人描写も少なく、過去で殺された一般人も「現代にいる誰かが覚えている場合は怪人を倒せば生き返る」という手法を取っており、歴代仮面ライダーシリーズの中では死者人数が極端に少ない。

平成ライダーシリーズは、『アギト』以降前作の『カブト』まで、テレビシリーズの放映期間中に劇場版が1作のみ制作されていたが、『電王』ではテレビシリーズが終了した後も、劇場版が複数制作された。その中で、第2作目と第4作目、第8作目ではその時点で放映中だった作品の仮面ライダーとの共演も果たしている。また、劇場版1作目公開の記念企画として、アニメ『クレヨンしんちゃん』とのコラボが実現した。

良太郎たちがイマジンを追って辿り着く過去のシーンでは、過去に飛んだ時期の実際の天気を調べた後、撮影時の天気に合わせて細かい日付を設定するという方法で現実の日付と天気を劇中に反映させていた。
2007年の現代に現れ、時間の改変を企てる侵略者イマジンと、これを阻止するために戦う仮面ライダー電王 / 野上良太郎、そして良太郎に憑依し力を貸す味方イマジンたちの活躍を描く。

イマジンは憑依した人間との間にその望みをかなえるという「契約」を結び、手段を選ばず「契約完了」することで望みにまつわる記憶を呼び覚まし、それを足がかりに過去へ飛び破壊活動を行うことで時間を改変してしまう。それに対抗できる電王に変身できるのは、時間改変の影響を受けない特質の持ち主特異点のみ。だが時の列車デンライナーに乗って未来から来た女性ハナが見出した特異点の良太郎はひ弱で気弱、しかも不運続きと一見およそヒーローらしくない。

そんな良太郎に憑依して力を貸すのが、モモタロス・ウラタロス・キンタロス・リュウタロスといった強烈な個性を持ったイマジンたち。彼らが憑依することで良太郎は能力のみならず性格も一変する。彼らの力と良太郎の奥底にある正しく強い心が合わさることで電王はその力を発揮する。そして過去へ飛んだイマジンを追って、電王もデンライナーで過去へ飛ぶのだ。

そうして戦いを続ける良太郎の前に、仮面ライダーゼロノス / 桜井侑斗と名乗る青年がイマジンデネブを伴って現れる。良太郎の姉野上愛理の失踪した婚約者と同じ名前を持つ彼の存在には、この事件の根幹に関わる秘密が隠されていた。
【参考】https://www.kamen-rider-official.com/history

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