りんりん運命の出会い その十二

りんりん

りんりん運命の出会い その十二



先日、ちょっとした用で横浜の山手町に行った。
日曜のお昼の事である。
この辺は、山手の洋館を始め、外国人墓地やインターナショナルスクールなど、ちょっとしたエトランジェ気分になる場所。
出身校がこの近くだったので毎日通った場所だけど、今だに魅力を感じる。
歴史を感じさせながら新しさも感じる場所だから…かな?
そう、わたしの今回の「運命の出会い」はその比較的新しい観光スポット、「アメリカ山公園」の中でのことである。
ここは学生の頃(はるか昔)は手の施しようがないような「藪」だった。 それが!なんということでしょう!条例が改正された事によって(しっかり調べてはいないが、そうらしい)素敵な公園に生まれ変わったのだ。
「運命の出会い」は、わたしが用を終えて、アメリカ山公園に戻った時に起こった。
ここの隅にあるエレベータを使えばみなとみらい線「元町中華街駅」の改札に降りることができるのだが、私は家で作ってきたサンドイッチをここで食べてから帰路につこうと思ったのである。
ちょっと冷たい空気だけど、それでも季節を考えたら冷え冷えした感じはしない。よく晴れた空には雲ひとつない。
公演のベンチには女性一人先客がいたが、「ここ、いいですか?」「はい、どうぞ」と、私のランチの場所が決まった。
その日は公園でランチ、と決めていたので、チーズと特別にお高いハムを3枚も入れてきたのだ。パクパクしながら気持ち良い空を眺めていると、隣の女性が、「気持ちいい空ですね〜。」と話しかけてきた。「本当に。この空に、鳥の一話でも飛んでいたら絵になりますね。」「ええ。本当に」などと、他愛ない話をしていた。
と、突然!「バァーン!」と何かが私に当たった!「ひゃあああ!」と変な声を出したと思う。
人間、突然、ビックリすることが起こると絹を裂くような「きゃああー」などという声は出ないものだ、少なくとも私は。
一瞬何事が起こったか解らなかったが、フッと手先を見ると…。
ない!
ないないない!
高価なハムを3枚も使って作ったサンドイッチがない!
空を見上げると、トンビ(だと思う、少なくともカラスではなかった)が、空高く舞い上がっていった。そう、トンビに油揚げ…ではない、サンドイッチをさらわれたのだ!
「だ。大丈夫ですかっ?」隣の女性が、やはり、何事が起こったかわからない、というように戸惑いながら声をかけてきた。
「ええ。体には被害はないですが、サンドイッチを見事に取られました。」とボーゼンとしながら答える私。
爪が当たったが、猫の爪と違って分厚いので、痛くはないし傷もなかった。
「高価なハム、食べられなかった〜!」と悔しさ漂う、あまりありがたくない今回の「運命の出会い」であった。

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