仮面ライダー真(シン)

OUKI

仮面ライダー真(シン)



都内に連続女性殺人事件が発生していた、父の研究を手伝っていた風祭真は財団により、自らも知らぬ間に生体改造兵士(バイオボーグ・ソルジャー)レベル3にされてしまう、そしてある日、真は鬼塚義一のレベル3への変身の影響を受け、感情の高まりと共に異様なバッタ怪人の姿へと変貌していく。
仮面ライダー生誕20周年記念作品。だが、実際には生誕21年目での発売となり、本来20周年にあたるのは前年の1991年であるが、当時のバンダイによると「昨年、ウルトラマンが25周年にあたり、重複を避けようということもあり、今年を20周年とし、営業を進めている」とのこと。映像作品としての「仮面ライダー」は1989年9月に放送終了した『仮面ライダーBLACK RX』以来2年半ぶりとなった。
石ノ森章太郎は『仮面ライダーBLACK』について「原点に立ち返るつもりでの仮面ライダー0号」と述べているが、本作品に関しても「今回の真・ライダーは0号」と語っている。原作者の石ノ森にとって仮面ライダーとは1号こそが原型であり、木にたとえれば幹であって、あとは枝葉にあたる。0号である『真』は木の根に該当し、もう一度最初の仮面ライダーのイメージを掘り起こしたいという意向が込められた発言である。

これまで子供向けに制作されていたシリーズとは一線を画す「大人向け特撮作品」を目指し、発売当時注目を集めていた大人向けのオリジナルビデオ作品と、石ノ森の「仮面ライダーを大人の楽しめるエンターテインメントにしたい」という強い思いから、大人をターゲットに制作された。そのため、主人公とヒロインの大人の愛と悲劇が描かれた脚本となり、全裸で主人公とヒロインがプールで泳ぐシーンなどといった大人をターゲットとした場面も登場する。

平成になってから制作された作品であるが、「仮面ライダークウガ」以降のいわゆる「平成仮面ライダーシリーズ」には含まれていない。
『RX』終了の1989年9月の段階で企画は立ち上がっており、当初は『仮面ライダーZX』同様の誌上展開も考えられていた。その後、劇場用映画版に代わって小野寺丈による準備稿が執筆されていた。一方、石ノ森章太郎も別途に「ガイア理論」をテーマとした『仮面ライダーガイアシノプシス』を用意しており、その構想を基に、小野寺丈が今日的要素を織り交ぜ、宮下隼一も参加して脚本が完成された。また、中村あずさ主演の特撮Vシネマ『女バトルコップ』のノウハウを使って仮面ライダー作品を作ろうという話もあり、最終的にビデオ作品としてのリリースが決定した。

「原点の仮面ライダー1号を超えた仮面ライダー0号である」という意図から、ヒーロー的な要素が全くない醜悪なモンスターとして登場するが、これは第1作の『仮面ライダー』で描写が見送られた「仮面やスーツを着用して改造人間の醜い体を隠す」という本来の「仮面」の意味を、次回作で語るという狙いがあった。そのため、「序章」というタイトルからも判るように、当初は全3話もしくは全5話を想定したシリーズ化を目指していたが、続編が制作されることはなかった。これは本作品が不評だったからではなく、むしろビデオの売れ行きが好調で、1993年に仮面ライダー映画の公開が決まったものの、『真』の続編は検討されつつも最終的に完全新作でいく方針となったためである。その経緯で制作されたのが『仮面ライダーZO』であり、1994年には『ZO』の続編企画を発展させた『仮面ライダーJ』の制作にも結果的につながった。仮にシリーズ化が実現していれば、シンが仮面とスーツやバイクを手に入れて仮面ライダーガイアとなってゆく過程が描かれたはずであり、原作者のラフデザインも存在している。こうして、大人向けの仮面ライダーというコンセプトの映像作品は、2005年公開の映画『仮面ライダー THE FIRST』まで途絶えることとなった。

最初のプロットでは、ヒーロー番組『仮面ライダー』で育った人物が夜な夜な仮面ライダーのコスプレをしてヒーローごっこをしているうち、本当の事件に巻き込まれるというものだった。このプロットにプロデューサーの白倉伸一郎が反対してより原点回帰的な作品を提案し、石ノ森は苦笑いして承諾したという。とはいえ仮面ライダーBLACKの企画当初にも石ノ森章太郎が同様の話をして却下されたエピソードがあり、これが全く石ノ森の想定していない案だったわけではない。
真の変身後の形態は、オープニングクレジットではタイトルの通り「真・仮面ライダー」と記載されているものの、劇中で明確には仮面ライダーと呼称されておらず、変身後の姿を指す呼称も登場しない。ラストにCIAが彼に「MASKED RIDER」というコードネームをパソコンで入力して与えるのみである。

公式を始めとする多くの媒体で用いられている名前は仮面ライダーシンであり、後年の映像作品ではこの名称で実際に呼ばれている。
【参考】https://tokuhero.info/pedia/?9a62f9b5b0

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