障害について
鬱病、広汎性発達障害と向き合う
現在私は主として鬱病、次点で広汎性発達障害と診断をされて障害者年金を得ながら日々の生活を過ごしています。
近頃は鬱病としての症状は薬で抑えられているものの、社会生活を送る上で広汎性発達障害が大きなネックになっているな、と感じています。
鬱病は分かるけれども、広汎性発達障害とは何だろう、と思うような方が多いとは思いますが、生まれつきの問題であり、脳の小さな異常が原因とされている神経発達障害と言われています。
特徴としてはコミュニケーション能力が低く、自分自身のこだわりに強い、また五感が過敏である、といったものが挙げられます
中には運動神経が鈍かったり、極端に不器用といったような処理能力が低い、という特徴を持っている方もいます。
広汎性発達障害の診断には、複雑心理検査と言われるものが必要となっていることが一般的です。
複雑心理検査とは、代表的なWAISと呼ばれる知能検査などのことを表します。
私の場合WAIS-ⅢとMMPI、TEG-Ⅱ、SCTを2019年5月14日と6月4日に行われ、それを元に診断されました。
WAISとはウェイスと呼び、70年以上歴史のある知能検査であり、ウェクスラー式とも呼ばれている発達障害などに対する心理検査です。
他にはWISC-ⅣやAQ、MSPA、CAARSとったものがあります。
他MMPIやTEG-Ⅱ、SCTは性格や気質の検査として行われるものです。
他にはバウムテストやロールシャッハ・テストといったものがあります。
WAIS-Ⅲの結果としては順番に
・全検査IQ(すべての検査のまとめ) – 82
・言語性IQ(言葉を使った検査) – 84
・動作性IQ(目や手を使った検査) – 83
となりました。
IQの平均値は85-115となるため、発達障害的にはグレーゾーンと呼ばれています。
また細かな指標の値については以下の通りとなっています。
・言語理解指標(言葉を使った情報の処理や表出) – 86
・知覚統合指標(目で見た情報をまとめる、状況把握) – 79
・作動記憶指標(一時的に何かを記憶したまま処理を行う) – 85
・処理速度指標(素早く正確に行動をする) – 102
これらをまとめると、処理速度が高いことから一つの事に関して行う分には問題がないが、情報をまとめる事が下手な為平行して仕事を行ったり、また違う仕事を振られたりするとパニックを起こす事が多い、ということが分かりました。
日常生活を送る上では、状況把握といった複数の情報をまとめて判断する必要がある場合、特に目からの情報をまとめることが苦手といったようなことが推測される、とのことです。
目から得た情報をまとめるのが苦手、というのは確かに思い当たる節があり、
「目で見て学んでからやって、メモはとらないで」
といったような場面に出くわしたことがありましたが、勿論処理する事が出来ずに上司から怒られた記憶があります。
まぁメモをとるな、という上司も上司ですが・・・(笑)
MMPI、TEG-Ⅱ、SCTの結果としては端的に言うと、全体的に混乱状態に陥っている状態だと考えられるそうです。
特徴としては不安や興奮の感じ方が非常に強いということ。
また疑い深く、自分が持っている常識から外れた事に対しては柔軟な対応をとることが苦手なタイプであるということ。
人の言動に対して非常に敏感であり、一部分の情報から自分の思考内でネガティブな方向へ飛躍し解釈を行ってしまう節がある、ということ。
そして自分の感情のコントロール、特に怒りといった部分に対して多くの労力を必要としてしまい、対人関係での問題であったり、劣等感といった気持ちの問題に繋がりやすい傾向にある、と思われます、とのこと。
心を開いている友人に上記の事を開示したところ、結構当てはまる部分が多いね、と言われました。
実際自分自身でも思い当たる節は多く、特に柔軟な対応をすることが難しい、と感じている部分は社会人生活を送っている上で2番目に感じた事でした。
1番感じた事はWAIS-Ⅲで出た、平行して仕事を行ったり、違う仕事を急に振られると対応が難しい、という点です。
どちらにしても、全てが自分基準の我儘な人間であり、それに対して添わない事があればパニックを起こすというとても厄介な人間だということが浮き彫りになりました。
複数の検査結果を行い、広汎性発達障害と診断されたのですが、では具体的に広汎性発達障害とは何だろう、ということが私の中で疑問になりました。
アスペルガー症候群や自閉症スペクトラム障害等といった単語については聞いたことがある程度の知識では、広汎性発達障害・・・?聞いたことないな・・・?となってしまい、ネットで検索を始めました。
広汎性発達障害の主となる症状としては2つあります。
・コミュニケーション能力の障害によって社会性が低下してしまうこと
・独自のこだわりによって社会に適応することが困難ということ
細かい部分でいえば、相手との適度な距離感をとることが難しかったり、想像力が弱かったり、曖昧なニュアンスが理解できなかったり。
また自分自身に当てはまるなぁ、と思った事が、柔軟に視点を変えるのが難しい点、決まったやり方や習慣に強いこだわりをもつ、同じ動作に没頭してしまう、感覚に敏感或いは異常に鈍感、といった点でした。
柔軟に視点を変えるのが難しいのは文字通りですが、決まったやり方は所謂マニュアル人間と呼ばれるようなやり方、自身で行動のパターンを組んでしまったりすることがあります。
自身で行動パターンを組んでしまった場合、行動パターンから少しでも逸れた事があれば1人で元に戻すということが困難になり、パニックを起こした事がありました。
例えば12時発の電車に乗って13時に乗り換えを行い、14時に現地到着、といった事を決めた場合、13時の乗り換えを間違えた時点で次の便に乗る、という選択肢よりもまず、現地到着が遅れてしまう事に対して非常に恐怖感を抱いてしまいます。
また曖昧な表現方法を不得意とし、「あともう少しだけ」や「ちょっとあとで」といった事が苦手としています。
ちょっとってどれぐらい?といったように、待機してほしい、という指示が苦手としています。
今現在分かっている範囲で可能な限り「あと20分後ぐらい」といったような表現方法のほうが、待機中にやることが分かりやすくて心の切り替えがスムーズに行えたりします。
音に関しては特に敏感であり、実家で療養していた際に始まった工事の音があまりにも煩く耐え難かった事から、措置入院となった経緯があります。
さて、一般的に広汎性発達障害で1番問題となってしまうのは、コミュニケーションの難しさと言われています。
対人関係をうまく築く事が出来ず、学校或いは職場といった場面で孤立しがちであり、本人には何が悪いのか理解することが難しい為社会性が身につきにくいとされています。
故に常識的な振る舞い、といった事が自然とできなくなってしまいます。
ただ症状の程度には個人差がとても大きい、というのが特徴的であり、家族とのコミュニケーションもできない人から表面上は普通に社会人として生活を送っている人まで様々です。
症状が軽度の人は言語能力や理解力といった部分は正常であり、言葉をそのまま受け取る事は普通に出来るのにも関わらず、仕草や表情等非言語を用いるコミュニケーションを苦手とします。
つまりアイコンタクトでの合図であったり、表情による意思疎通を行う事が非常に困難です。
また言葉もそのまま受け取ってしまう為、裏の意図が読めなかったりしてしまう為、軽い冗談や嫌味といったことを真に受けてしまう事があります。
更に相手の立場であったり、感情に気を付けながら言葉を選ぶ、ということも難しい為、対人トラブルが発生してしまう要因になってしまいがちです。
症状が重度の人は人に関心を示さなかったり、呼びかけに反応を示さない、同じ言葉を繰り返す、といった反応が見られます。
言語能力の方にも遅れが見受けられ、ボキャブラリーの乏しさであったり、理解力の欠如といった点になります。
逆に程度が重たければ周囲も病気を持っている人、という認識を持ちますが、軽度の人に対してはそういうようなことが出来ず悩んでいる人も多いのです。
上記の事が一般的に広汎性発達障害と呼ばれる部分であり、それを読んでいくにつれて自分も「なるほどなぁ、よく似ている」と思う事が多々ありました。
先程述べた乗り換えの件であったり、措置入院になった経緯も然りです。
電車の乗り換えには一度パニックになったことから、なるべく一人で電車に乗るような事は避けています。
なので病院は通院を行う、というよりかは往診に来てもらう形をとってもらっていますが、それでもなかなか自分の思っている事を話すのが得意ではなく、よく紙に書いて渡していました。
措置入院中は担当医がほぼ毎日来てくれたのですが、それでもA4用紙で収まらない事が多々あるように、非常に自身が混乱して何を言いたいのかがさっぱりわからないような状況に陥っていたと思います。
措置入院から医療保護入院へ切り替わり、入院中は2つ程病院にいたのですが、根気よく対応をしてくれたな、と思っています。
医療保護入院中の事のほうがよく覚えているのですが、担当医が親身になって向き合ってくれた事や、症状が和らいでいた頃のカルテを取り寄せて似たような処方をしてくれたり。
看護師さん達も放っておくのではなく、看護師さん目線からみてこう見えるのだけれども、どうしてそうするの?といったように分かりやすく噛み砕いて話をしてくださいました。
また自分自身を顧みる良い機会ともなり、自分がされて嫌だったこと、こういうのが嫌だからこうしてほしい、というようなことを担当医含め看護師さんにもメモ書きをお渡ししていました。
今現在ですが、医療保護入院から退院をし、半年程経過をみてデイケアに月2回通っていました。
デイケアというとコミュニケーション能力を求められるのかと思いましたが、医療保護入院中にデイケアというものを体験させて頂き、一人で行うものという解釈でも良い、とのことで通えるようになりました。
またデイケア先でも心身の不調による欠席や早退等、十分すぎるほどに融通を効かせてもらったな、と実感しています。
デイケアに通う事によって不安だった朝起きるということに対して、予定があれば起きれるという自信に繋がり就労支援B型への移行を考えている最中です。
一人での作業が得意なことと、単調作業といったようなことも苦ではない他、学生時代に取得した簿記やエクセルの使い方を復習していきたいと考えています。