仮面ライダー響鬼(ヒビキ)

OUKI

仮面ライダー響鬼(ヒビキ)



完全新生」と銘打たれた本作品では、伝統的な “和” をベースとした世界観の元、作中では「仮面ライダー」ではなく “鬼”と呼ばれる戦士たちが「楽器」をモチーフとする武器で魔化魍と呼ばれる怪物と戦う。プロデューサー・髙寺成紀は制作発表の場で、「『響鬼』は平成の『仮面ライダーアマゾン』」と形容した。

本作品のライダーは、修行によって自らの肉体を変容させ、鬼となる能力を得た者たちである。「変身音叉」と呼ばれる変身のきっかけとなるアイテムは存在するが、能力を持たない者がそのアイテムを使っても鬼にはなれないため、平成仮面ライダーシリーズの多くで採用されてきた、変身ベルトなどの「仮面ライダーになれるアイテム」とは異なる、また、キックは必殺技ではなく、顔面に複眼がないなど、従来の仮面ライダー的な特徴を廃した。変身の際には着用していた服が破壊され変身解除すると全裸になるため代えの服を常に用意していたり、顔のみを変身解除する演出も行われている。

主役は「ライダー」でありながら当初バイクを所有せず、サポートメンバーが運転する乗用車で移動する。これは「音で戦うヒーロー」と騒音を生むバイクとの相性の悪さについて企画中に検討されたことの名残である、バイクの代わりに巨大な動物型メカ「ディスクアニマル」に騎乗する案もあったが、手のひらに載る通常のディスクアニマルとのサイズ差は映像で見る分には面白くても玩具では再現しきれないことと、現実離れの度が過ぎるため没となった。

物語面では、鬼に出会った少年の明日夢の成長譚が大きな柱となっている、平成仮面ライダーシリーズでは幼年層を意識しながらも重くシリアスな物語を強調した作品が続いていたが、本作品の作風はこれらの部分を極力抑えた明るい雰囲気となった。おおむねライダー(鬼)たちは温厚で正義感の強い者たちであり、従来のように戦いに対する葛藤や心の闇は描かれていない。また、ライダー同士の衝突はほとんど見られない、そのためゲーム版でライダー同士が戦うことは「手合わせ」という形となっている。

ほかにも、平成仮面ライダーシリーズでは初となる縦書きのタイトルロゴやスタッフクレジット、筆文字のカット挿入、ミュージカル的な演出など、前作までのシリーズとは違う試みがなされている、しかしこれらは話数が進むにつれて徐々に見られなくなっていった。

前期オープニングはインストゥルメンタルで、『仮面ライダークウガ』以来にエンディングが復活した、歌手には布施明を起用している。

前作『仮面ライダー剣』まで地上デジタル放送が4:3画角のレターボックスサイズでの放送だったが、本作品よりデジタル放送は本格的に16:9画角のデジタルHD放送となる(HDでの初放送は前作『仮面ライダー剣』最終回の後の新番組告知から)。本作品よりHD制作に移行したが、インターレース映像とプログレッシブ映像が混在して制約が生じるなどの課題が残り、これらは次作の『仮面ライダーカブト』で改善が図られた、また、後期オープニングの撮影では『仮面ライダーカブト』に先駆けHD24P撮影システムが導入されていた。

『仮面ライダーディケイド』までの平成仮面ライダー作品の初公表は、12月末発売の『てれびくん』『テレビマガジン』でされるのが恒例だが、本作品では『仮面ライダー響鬼 Preview Issue』(小学館刊)が2004年12月17日に発売され、従来より早い初公表がされた。
日本には、古来 “鬼” と呼ばれる者たちがいた。人間でありながら超人的な能力を持つ彼らは、魔化魍(まかもう)と呼ばれる妖怪の類から人々を守っていた。そして鬼をサポートする人々の体系は組織へ発展し、猛士(たけし)と呼ばれるようになった。

西暦2005年。高校受験を目前に控えた安達 明日夢(あだち あすむ)は、母の親戚の法事で屋久島に向かうフェリーの上で、船から転落した幼児を助ける男に出会う、それを見て驚く明日夢に男は何事もなかったかのように「結構鍛えてます」とだけ言い残して立ち去った。

従姉妹とともに法事を抜け出して島を散策しに出た明日夢は、白谷雲水峡の中でヒビキと再会するも、従姉妹が異形の男女である童子と姫に襲われる。従姉妹を助けたヒビキは明日夢に従姉妹を託し、音叉を顔の前にかざすと、鬼の姿である響鬼に変身し、童子と姫が変貌した怪童子と妖姫に立ち向かっていった。

怪童子を倒したヒビキに明日夢は悩みを打ち明ける。そして、ヒビキを探して山の奥へと入った明日夢は姫に襲われるもヒビキに助けられ、彼が響鬼の姿に変わるのを目撃するが、姫が育てた魔化魍であるツチグモが現れ、響鬼を襲う。ツチグモを倒したヒビキは「鍛えてるんです」と言って笑顔を見せる。

それ以来、親しくなったヒビキに興味を抱くようになった明日夢はそれと同時に彼に憧れを抱くようになる。
【参考】https://www.kamen-rider-official.com/riders/6

タイトルとURLをコピーしました